
離乳食で注意が必要な食材
離乳食で初めて与える食材は必ず、1種類ずつ、ひとさじから始めましょう。
例えば…
おかゆとにんじんが食べれるようになった赤ちゃんの場合、バナナとかぼちゃもチャレンジしたいな。というときは今日はおかゆとバナナ。明日はかぼちゃ。という風にバナナとかぼちゃを同時に与えず、初めての食材は別の日に1種類ずつ与えましょう。
特にアレルギー体質をもつ赤ちゃんは強いアレルギー反応を起こす食品がありますので注意しましょう。
食物アレルギー
食物の摂取により食物抗原に対する免疫学的反応によるものを食物アレルギー(Food Allergy)と呼びます。
体の中で異物(抗原)が入ってくるとこれに対して防衛しようとする働きにより、抗体が作られ、抗原の侵入に対して、この抗体がよい方に働けば、免疫反応により病気の発症を抑えることができます。
ところが、アレルギー体質を持っている人の場合、その後の抗原の侵入に対して過敏な反応をし、血圧低下、呼吸困難又は意識障害等、様々なアレルギー症状が引き起こされます。
赤ちゃんの離乳食アレルギーによる症状
アレルギー体質をもつ赤ちゃんがアレルゲンとなる食べ物を口にすると次のような症状が現れます。
- 皮膚が赤く腫れる
- 湿疹
- じんましん
- 下痢
- 嘔吐
これらは離乳食アレルギーの代表的な症状です。
また「アナフィラキシーショック」と呼ばれる、呼吸ができなくなる。意識を失う。といった重篤な症状を伴う場合もあります。
離乳食を与える前に、赤ちゃんの体調をチェックし、離乳食後に湿疹が出ていないか、いつも通り元気かなどを確認しながら離乳食を進めましょう。
食物アレルギー特定原材料等は25品目
えび、かに、小麦、そば、卵、乳、落花生、あわび、いか、 いくら、オレンジ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、 まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン
なかでも発症数が多く、重篤度が高いものは次の7品目です。
えび、かに、小麦、そば、卵、乳、落花生
資料:厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課「アレルギー物質を含む食品に関する表示Q&A」より作成
注意が必要な食材
はちみつ・黒砂糖 | 満1歳までは「乳児ボツリヌス症」を発症する恐れがあるので与えてはいけません。 |
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卵 | 卵白はアレルギー症状を起こすことがある食材です。卵を与える場合は固ゆでの卵黄から始めましょう。様子を見て全卵に進みましょう。 |
牛乳 | 離乳食の材料として使うことができますが、飲用するのは1歳を過ぎてからにしましょう。 |
飲み込みにくい食材 | かまぼこ・こんにゃく・いか・たこなど、弾力があるもの。皮が残るものやレタスなどの薄いものは噛み切りにくく、飲み込みにくいので、食べやすく調理し、喉に詰まらせたりしないように気をつけましょう。 |
乳児ボツリヌス症
乳児ボツリヌス症とは、ボツリヌス菌の芽胞を摂取することで発症する感染症です。
芽胞は乳児の体内で発芽し、ボツリヌス毒素を作り出します。原因となる食物はいくつかあるようですが、はちみつについては因果関係が明白になっているので、1歳未満の乳児にはちみつを与えないでください。(1987年10月20日厚生省通達)
蜜蜂は芽胞が付着した花粉を運び、はちみつが汚染されます。その他にコーンシロップ、野菜ジュース、スープからも感染した例が報告されています。
芽胞は高温に耐えるため、一般的な加熱調理でははちみつ中の芽胞の除去は難しいようです。
乳児ボツリヌス症は通常のボツリヌス症と異なり、成人に比べ腸内細菌叢が未発達であることや、消化管が短いことから、成人では消化管で殺菌されるボツリヌス菌が乳児では腸管まで届いてしまうために発症してしまう乳児特有の中毒です。
乳児ボツリヌス症の症状はそれまで順調に発育していた乳児が便秘がちになり、全身の筋力が低下する脱力状態、母乳を飲む量が減ったり、泣き声が弱く小さくなる症状が見られます。また無表情になり、頸部筋肉の弛緩により頭部を支えられなくなる症状も見られます。眼瞼下垂、瞳孔散大、対光反射が緩慢になるなど、ボツリヌス食中毒と同様な症状がみられます。
治療は一般的に対処療法がとられます。呼吸が麻痺してしまう場合があるため、呼吸の管理を第一に行い、栄養の管理も同時に行います。