産まれたばかりの赤ちゃん「うぶ声」の大切さ

産まれたばかりの赤ちゃん「うぶ声」の大切さ

2015年6月8日   2018年3月9日
出産について

受精卵の時にはわずか0.1mmしかない赤ちゃんは、胎内で着実に成長し、生まれるときには身長50cm、体重2500~3000gほどにもなります。
胎内にいたときにはお母さんから栄養をもらい生きてきた赤ちゃんも、自分で呼吸をしなければならない母体外での生活が始まります。

生後約1週間は、お母さんのお腹の中とは違う外の世界に適応するために、からだに様々な変化が起こる赤ちゃんにとっては大きな試練の時期です。

生まれた赤ちゃんが最初にすること

うぶ声の役目

胎児期の赤ちゃんは臍帯(へその緒)を通してお母さんから流れてくる酸素を吸収し、二酸化炭素を排出し呼吸をしています。
しかし、赤ちゃんは子宮内から外界に出たその瞬間から、臍帯ではなく自発的に呼吸をしなければなりません。そして、呼吸をするために大切になってくるのが大きな「うぶ声」です。

赤ちゃんが母体外に出たときにあげる最初の泣き声を、「うぶ声」と呼びます。
うぶ声を上げることは、赤ちゃんの大切な最初の仕事で、「おぎゃー!」という大きな泣き声は、正しく自発呼吸を行うことができたという確かな証でもあるのです。

うぶ声をうまく上げられないと、肺の中に空気を十分に吸い込むことができません。そのため、全身、とりわけ脳に供給される酸素が不十分となり、仮死状態になることがあります。
この状態を新生児仮死と呼び、最悪の場合には、脳細胞の障害を引き起こすことがあります。

赤ちゃんにとって、うぶ声をあげられるかどうかは、一つ目の大きな試練といえます。

臍帯(へその緒)を切る

臍帯(へその緒)は子宮内でのお母さんと赤ちゃんとをつなぎ、酸素や栄養分を赤ちゃんへ、赤ちゃんから出る老廃物や二酸化炭素をお母さんへと運ぶ重要な役割をしますが、赤ちゃんが生まれてからは必要がなくなります。
そのため、赤ちゃんの元気なうぶ声を聞いたあとに、この臍帯を切断します。

ほとんどの場合、へそに残った臍帯の断端は、4~5日経つと乾燥して根元からポロリと落ちます。
時折、臍帯の断端の一部が残って、ジクジクした分泌物が出る、臍肉芽種を起こす場合があります。放置しているとそこから菌が入ってしまうこともありますので、生まれた施設や病院で処置をしてもらいましょう。

計測・検査

赤ちゃんが生まれると通常、最初にすることは体重、胸囲、頭囲などの身体測定で、母子健康手帳に記入されます。
さらに赤ちゃんが生まれてから1分後、5分後の呼吸と循環(全身の血液の流れ)の状態を点数で表したものをアプガー・スコアといい、心拍数、呼吸の状態、筋肉の緊張、神経反射、皮膚の色の5項目を調べます。
アプガー・スコアの満点は10点ですが、1分後に7点以上の状態になった赤ちゃんは、問題なく生まれてきたことになります。
この点数は赤ちゃんがすこやかな様子なら気にすることはないでしょう。

沐浴

生まれたての赤ちゃんをキレイにする(清める)沐浴という習慣が日本にはあります。
産道を通って生まれてきた赤ちゃんは、血液や分泌液で汚れているので沐浴できれいに洗い流し清潔な状態にします。

しかし、生まれたての赤ちゃんのからだを覆っている胎脂という白いバターのような脂は、赤ちゃんを保護する役割をもっているので、沐浴で洗い流すのが必ずしも良いわけではなく、最近では沐浴を行わずに、体をきれいに拭くだけのところもあります。

また、沐浴によって赤ちゃんの体温を低下させることもあるので、体温にも十分に気を付けておく必要があります。
そのため、多くの施設では低出生体重児や仮死状態で生まれた赤ちゃんには沐浴をせずに、清拭綿で汚れをふき取るのみにして、赤ちゃんの体温低下を防ぎます。
沐浴が終わったら衣服を着せ、暖かくして体温の低下を防ぎます。最近の施設では、保温器(ラジアント・ウォーマー)に赤ちゃんを寝かせるところが多くなってきているようです。

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